投稿者「吉岡幸雄」のアーカイブ

煉瓦色(れんがいろ)

京都に住んでいて、何がいいかといえば、街中からものの十分も車で走ると、緑豊かな山川の景色に出会えることだ。 なかでも私は東山三十六峰のひとつ独秀峰を背景にそびえる南禅寺の伽藍付近を散策するのが好きである。 広壮な三門をく … 続きを読む

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煤竹色(すすたけいろ)

夕闇がせまるころになると、だんだんと冷え込みがつよくなって、火が恋しくなる季節になってきた。 ひと昔前まで、田舎の家に行くと、囲炉裏が切ってあって、そこに薪と炭火があかあかと燃えていて、自在カギがつるされ、白い煙がゆっく … 続きを読む

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朱色(しゅいろ)

秋の正倉院展が近づいてきて、胸がときめいている。というのも私の染織の仕事のお手本が飛鳥・天平の遺宝であり、それらをじかに見ることができる喜びがあるからだ。 正倉院に遺された色彩と形は、現代の美とデザインをはるかに超えてい … 続きを読む

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稲藁を燃やす

秋冷の季節になって、朝晩は襟元や足先がだいぶひんやりしてきた。 もう工房では冬の支度にかかっていて、まず稲藁が運び込まれている。最近の農家では、稲をコンバインで刈り取って、すぐに細かく刻んで田に撒いてしまうので、むかしふ … 続きを読む

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蓼藍の花

今年の異常気象は、九月に入って少しやわらいできたように思っていた。ところが、蓼藍の二番葉を刈る頃、つまり九月十五日をすぎる頃より、もう花が咲いてきてしまった。 例年なら、九月の末頃、三番葉が出てきて、それからコンペイ糖の … 続きを読む

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