東大寺記念行事 五色の開眼縷 (かいげんのる) 制作進む

これを書いているのが8月26日。工房では蓼藍の二番葉が生育してきていて、その刈り取りに忙しい。渋柿もちょうどいい大きさで、青味がまだ残っていて「新渋」をとるのにいい季節である。

8月28日は、高名な写真家、高橋昇さん(この方は前に和光の『銀座チャイム』誌でお仕事をした人である。)が、渋を絞るのや、紫根染などを撮影にこられる。雑誌『潮』の巻頭カラー頁だそうである。

東大寺の10月15日の記念行事(このホームページの「吉岡会」参照)にむけての仕事が追い込みにはいっている。とくに五色の縷の紐の仕事が大がかりになってきた。

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青白橡 (あおしろつるばみ)・麹塵 (きくじん)

青い団栗(どんぐり)

青い団栗(どんぐり)

日本列島の四季の移ろいは、日毎にゆっくりゆっくりとすすんでいく。落葉樹も夏の暑い盛りには深い緑色をたたえているが、秋が近くなって、涼やかな風が吹いてくると、青い葉がわずかに黄ばんでくる。

私たちが団栗と呼んで親しんでいる木の実も葉の間にいくつもの実を付ける。団栗というのは、ツルバミ、ナラ、クヌギ、カシなどの実を総称して、そう呼んでいるのである。

青白橡 (あおしろつるばみ) という古い色名があって、夏の終わりの団栗の実の青さの残る色をそう称している。また、それを麹塵 (きくじん) ともいう。

麹塵とは、麹黴 (こうじかび) の色である。平安時代、天皇だけが着用できた禁色 (きんじき) で、室内のほのかな明るさでは薄茶色に見えるが、太陽の光のなかに立つと、緑が浮くように映える。

『延喜式』には、「青白橡綾一疋。苅安草大九十六斤。紫草六斤。灰三石。薪八百四十斤」と、その染色法が記されている。

普通、緑系の色を出すには藍と黄色を掛け合わせて染めるのだが、これはその例外で刈安と紫草の根を掛け合わせるのである。

どのような色であるか、私の工房で『延喜式』にのっとって染めてみた。さいわい、刈安は近江の琵琶湖の東、伊吹山で採れたものがある。紫根は京都福知山で丹精こめて栽培しておられるものを譲っていただいたものもあった。

色は不思議な緑系に染めあがった。

日本の色辞典麹塵青白橡山鳩色の色標本と詳しい解説は
日本の色辞典』をご覧ください。
吉岡幸雄・著 (紫紅社刊)

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法隆寺伝来国宝「四騎獅子狩文錦」の復元進む

昨年から、法隆寺と NHK より、法隆寺に伝来する聖徳太子ゆかりの国宝「獅子狩文錦」の復元に取り組んでほしいとの要望があり、様々な方々のご協力を得て、私ども吉岡工房で努力してきた。

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東大寺管長の紫衣を織る

日本においても紫は飛鳥時代より高貴な色として崇められてきたのである。東大寺正倉院に今日も遺る染織品にも紫草の根、つまり紫根で染められたと考えられるものをいくつか見ることができる。

とくに聖武天皇が御遺愛のものであったという「紫地鳳文軾」がよく知られており、今日もその美しい彩りをたたえている。紫色が高貴な色であるゆえに、奈良時代の大寺院の僧衣も紫の衣を着ていたのである。

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「東大寺大仏開眼1250年慶讃大法要」が近づく

10月15日東大寺大仏開眼1250年慶讃大法要の日が近づいてきました。私どもの染司よしおか工房では、様々な染織の仕事をおおせつかっていて、もう追い込みの時が来ています。

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