東大寺記念行事 五色の開眼縷 (かいげんのる) 制作進む


これを書いているのが8月26日。工房では蓼藍の二番葉が生育してきていて、その刈り取りに忙しい。渋柿もちょうどいい大きさで、青味がまだ残っていて「新渋」をとるのにいい季節である。

8月28日は、高名な写真家、高橋昇さん(この方は前に和光の『銀座チャイム』誌でお仕事をした人である。)が、渋を絞るのや、紫根染などを撮影にこられる。雑誌『潮』の巻頭カラー頁だそうである。

東大寺の10月15日の記念行事(このホームページの「吉岡会」参照)にむけての仕事が追い込みにはいっている。とくに五色の縷の紐の仕事が大がかりになってきた。

開眼縷 (かいげんのる)

東大寺正倉院の宝庫には、今から1250年前の大仏開眼法要の時に用いられた仏教儀式具が、今日もなお数多く伝えられている。

そのなかで開眼儀に用いられた「縹縷 (はなだのる)」はとりわけ印象的である。縷とは糸を意味しているが、これは撚りのかかった長い紐である。これに紙箋がついていて、そこに「開眼縷一条重一斤二両大 天平勝宝四年四月九日」と墨書されている。インドの僧で法要の指揮官であった菩提遷那が、大仏を開眼する筆にこの長い紐を結び、もう一方を大仏殿前庭に参集した列席者の手に渡し、皆が開眼の時とその喜びを味わえたのである。

今回もそれにのっとっり、大仏様の手からのびた二百メートル近い五色の絹糸が、橋本管長のもつ筆に結びつけられ、このたび新たに制作された菩提遷那の像に眼が入れられる。そこから列席者のほうへのび、一人一人が手に渡され、一千二百五十年前のありさまの感動を味わうことになっている。

染司よしおかでは、四十キロの絹糸を五等分して、印度茜の赤、楊梅の黄、蓼藍の青、刈安と藍をかけた緑、そして白と五色に植物染をして、撚りをかけて百数十メートルの紐にして、天平の彩りとその様を再現するように仕上げたのである。

  1. 殿内壇上から舞楽台:糸まき台枠までの長さ
    五色:60メートル(直径12ミリ)
  2. 舞楽台上の糸まき台枠から東側中心縷までの長さ
    五色:10メートル(直径12ミリ)
  3. 舞楽台上の糸まき台枠から西側中心縷までの長さ
    五色:15メートル(直径12ミリ)
  4. 東西の中心縷=舞楽台横からの中門までの長さ
    五色:60メートル(直径12ミリ)×2本(垣根の後ろ側に1.5メートルの柱を3メートル間隔に立てて、その柱に縷を引っ掛けて中門まで設置する。)
  5. 中心縷を挟んで式衆床から招待者までの長さ
    単色:25メートル(直径4ミリ)×50本(中心縷とクロスして2メートル間隔で25本の東西分2倍)
  6. 壇上から盧舎那仏の御手までの長さ
    五色:30メートル(直径12ミリ)

*図を参照してください。

開眼縷図解

開眼縷図解





カテゴリー: 大仏開眼1250年慶讃大法要
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