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2004.04
出版本の案内

■「美(アート)と意匠(デザイン)をさぐる」紫紅社文庫 第2回配本
<オールカラー264頁 定価各1,200円(税別)>


図譜 和更紗の文様 吉岡幸雄編

-具象、抽象、幾何学。
インド風、西欧風、中国風、和様の文様。
弁柄、黄土、藍蝋、群青の色彩。
和更紗の多様な世界を紹介。



櫻の文様 谷本一郎著

-櫻花が見せる多様な表情を俊英の意匠家がひと筆ひと筆、精緻に描いた「日本の櫻」文様の決定版。
櫻を愛する人、着物好きな人、和を慈しむ人、美術・デザイン関係の人、必携の図譜集。


「図譜 和更紗の文様」P13より
 唐子草花文様



「図譜 和更紗の文様」P153より
 桐鳳凰瑞雲文様と菊花文様



「櫻の文様」P164より掲載
 

第2回配本についての吉岡先生のコメント
紫紅社では、昨年の秋より、美と意匠シリーズとして文庫本を出版しているが、この春は『図譜 和更紗の文様』(吉岡幸雄編)と『櫻の文様』(谷本一郎著)の二冊を刊行した。

「和更紗」は、江戸時代になって、インド更紗が輸入され、友禅染などに大きな影響を及ぼした。それを日本でも生産しようとして試みをしたものである。
日本では、型紙型染の技術が発達していたので、精緻な技術で文様を彫り、それを木綿布の上において、弁柄、墨、群青などの顔料を摺り込んで色彩と文様を表わしたものである。
主に、長崎、鍋島、堺、京都で生産され、さらには幕末から明治にかけては江戸でも試みられた。
インド更紗の文様の影響を強く受けているのは当然であるが、中国の更紗、西洋の更紗、それに日本の伝統文様とさまざまな変化が見られるのも、和更紗の特徴であろうか。
ぜひ、座右において楽しんでご覧いただきたいものである。

同時に、京都の染織図案家の谷本一郎氏の『櫻の文様』も出版された。
それは、近世よりの日本の伝統文様のなかでも、最も魅かれる「櫻」に焦点をあてて、図案家の眼と手によって、今日に応用できるように描かれたものである。
 日本の伝統の美が、長い歳月にわたって鑑賞され、それが今日もなお生き続けている姿と、その美しさを見てほしいものである





■「美(アート)と意匠(デザイン)をさぐる」紫紅社文庫 創刊
<オールカラー264頁 定価各1,200円(税別)>

美術工芸の専門出版社、京都の紫紅社が文庫を創刊しました。
日本人の美意識と繊細な和の意匠を集成いたします。
ぜひお手に取ってご覧下さい。

※第1回配本4冊の内容

●ポスターは時代の鏡。日本のコマーシャル事始。
日本のポスター 明治 大正 昭和 三好 一著

-日本の広告の源流を見る。明治から昭和20年代の傑作ポスターを集大成。
懐かしくもあたたかい日本の感性を思い出す「追憶の一冊」である。
デザイナーや広告関係者には必見のビジュアル文庫。

●手渡しで贈る心に趣を。情趣を添えた小世界。
ぽち袋 - 粋と遊び心 豊田満夫著

-「お世話さま」と心づける「ぽち袋」にも日本人は繊細な感性を
表してきた。「寸志」を機知に包んだのだ。
滑稽、洒脱、艶、芸能、揃物など愉しく、そして粋な遊び心の色彩
とデザインが溢れる。

●時代衣裳を見る。女たちは、何を着ていたのか。
日本の女性風俗史 切畑 健著

-古墳時代から江戸時代までの女性風俗を髪型から衣裳まで完璧に再現。
衣を見て歴史を読みとく。
ファッション関係者必携の「きもの」歴史事典。
現代に生かす色彩と意匠のヒントがここにある。

●花鳥風月 雅やかな和の意匠の集大成。
唐長の「京からかみ」文様 千田堅吉著

-古都・京都の厳しい美意識に育まれた究竟の伝統文様。
花鳥風月の暮らしのなかに生かして安らぎの空間を演出した
「京からかみ」を細見する。
十一代目当主が特選した百八十余点をカラーで収録。



■『日本の色を染める』岩波新書刊 本体価格=780円(税別)
〈新書判 総240頁 カラー口絵4頁〉

著作『日本の色を染める』(岩波新書)が発売された。2002年12月20日に店頭に並んだ。たまたま東京の新宿に行くことがあったので、紀伊国屋本店に入って、新書コーナーを見た、書店の方のご配慮もあって、平積みされていて、売れいきもなかなか好評のようであったのでホッとした気分になった。

読んだ方々からも、様々な批評が寄せられてきて、筆者としては身につまされること、あるいは喜ぶような言葉が入りまじっていて、いつもながら文字にして大量に印刷される著作物を書くという責任感を強く想うのである。

一息ついたところであるが、次の著作に向かってもう一度心を引き締めているところである。



■『京のことのは』幻冬舎刊 本体価格=2500円(税別)

私と槇野修氏の共著の『京のことのは』が出ました。
京都の四季、風景、行事、京都特有のやさしい言葉の表現などを、美しい写真とともに記したものです。

京都生まれの私と、東京生まれの槇野氏とが、互いに美しい言葉、歴史的な言葉、気になる言葉を選んで解説したもので、「日本語の源流」を探ったものです。いつも手にとって美しい景色を眺めて解説を読んで、季の彩りを味わってほしいものです。



■『京都色彩紀行』PHP研究所刊 本体価格=2200円(税別)

平成7年に『色の歴史手帖』を上梓して以来、PHP研究所の若手編集者との付き合いが深まって、『染と織の歴史手帖』、『きもの暮らし』(青木玉さんと共著)と刊行し、今回11月初旬に書店の店頭に並んだ『京都色彩紀行』が4冊目である。PHP研究所は経営書や人生論の出版社と思われがちだが、意外に企画の守備範囲は広いし、編集者も意欲的である。吉岡にまた何か書かせよう、と訪京してくれることはうれしい限りである。

さて、『京都色彩紀行』だが、内容は2部構成になっている。第1部は、京の四季の色を私が案内する随筆で、嵯峨野の松の緑からはじまり、北野の梅、宇治の柳、そして東山山麓の桜と、いわば私の「とっておき」の景色を紹介している。大田神社の杜若、平等院の藤、西山の竹林、祇園祭で春夏の色彩を周遊し、秋冬の色彩模様に移る。もちろん紅葉の一等地も案内している。各文章に地図を添えているので、読者がそれに沿って歩きやすくなっていると思う。

京都に旅する前に読んでいただければ、他のガイドブックより、四季の景色と歴史に強くなれる、と自賛しているが、いかがか。

第2部は、色と形を、木、土、水、火、紙、石など素材別に紹介してみた。たとえば、「木」では永観堂の新緑に染まる縁回廊や清凉寺の胡粉に塗られた豪壮な木組み、「土」では島原輪違屋の紅葉壁や大徳寺の塗塀のデザインを、「火」では鞍馬の火祭りや花脊の松明上げなど、さまざまな京都ならではの色彩と意匠を50カ所取り上げた。これは、京都の点と点を結ぶような京都案内となっている。極上の景色を切り取ったカラー写真は、長年のお付き合いである岡田克敏氏の作品である。



■『虹色どろぼう─染司よしおかの植物染─』
 紫紅社刊 本体価格=3000円(税別)

2001年ドイツミュンヘン市で行われた「染司よしおか」展のために、制作出版した本である。
展覧会を企画してくれた、エルマー・ヴァインマイヤー氏が、よしおか工房へ、およそ1年と6カ月、何度も足を運んで取材して、彼なりの視点で毎日色と格闘している姿を書き表してくれたのである。とりわけ毎日、染場で陣頭指揮をとり、自らも染液で布を繰り、糸をあやつっている福田伝士を忠実に追って、工程を詳しく書いてくれている。

今まで、どちらかといえば、私自身が仕事の内容を書き表しすことが多かったが、エルマー氏の眼は、また新しい姿をとらえているといえる。

写真は小林庸浩氏。氏も1年間、何度も工房へ足を運び、時には伊吹山の刈安や宇治田原の青柿の生産地までも行ってくださった。染色の課程が迫力のある美しい映像となっている。

また、完成した作品群は、京都の町家、とりわけ「大店」の本来の姿を今に伝える、奈良屋杉本家をお借りして、撮影していただいた。その佇まいを背景にした作品は、より映えた美しい彩りとなっていると思う。

ドイツ語版を先に制作したが、今回1月17日よりの東京新宿OZONEホールでの展覧会を機に、前堀信子氏の翻訳によって、日本語版としたものである。美しい本となったことを喜んでいる。



■たびたび新しい発見がある『日本の色辞典』
 紫紅社刊 本体価格=2800円(税別)


吉岡幸雄氏の植物染の仕事は他の追随を許さないものであるが、その染め色の集大成が、『日本の色辞典』として2000年6月に発行されている。そして版を重ね、ロングセラーとして定着した。座右の書にしている方も多かろう。

この本の美しい色標本を眺め、色名の由来を聞くことは楽しい。一度読んでしまえばそれで終わりといった類の本ではないからたびたびページをめくる。そのたびに新しい発見がある。

 歴史は色の自由さえ禁じられた

いま私たちはだれにはばかることなく、どんな色の服も着ることができる。しかし、この色辞典の各所に「禁色」という言葉が出てくるのだ。すなわち天皇や皇太子、高貴な人にだけ許され、一般の者には使用を禁じられた色である。紫や紅のほかに黄櫨染(こうろぜん)、黄丹、麹塵(きくじん)などの色が禁じられたのだ。なるほど、それらの色はじつに深みのある色をしている。
そして吉岡氏は禁色とされるほど染色の難しさを自らの染めの作業の体験から説いており、歴史は色さえ階級化した事実を知らせてくれるのである。(PHP研究所 槇野修)


■『京都の意匠−伝統のインテリア・デザイン』
■『京都の意匠II−街と建築の和風デザイン』
 建築資料研究社刊 本体価格=2400円(税別)


私が子供時代を過ごしたのは、草深い伏見の里で、まわりにはとりたてて意匠をこらした建物はありませんでした。父や母に連れられて「京に行く」(京都市内に住んでいながら、伏見付近の人たちは市内に出ることをこういいました)と、街並みの整然とした様子が子供心にもとても美しく思えたのです。いまほどコンクリート造りの建築物がない時代でしたから、たとえば寺町通でも新町、室町通でも虫籠窓と弁柄格子の町家が軒をそろえて建ち並ぶ風情を心地よくながめることができました。

中学・高校になると行動範囲も広がって、しかも歴史の本を少しまじめに読むようになりましたから、自然と京都の寺社にひかれて古寺名刹を歩くようになりました。当時の少年としては、建物フリークだったんでしょう。



早稲田に入って東京暮らしをすることになりますが、帰洛のおりは、どこかのお寺さんを見に行くことで、ホッとする思いを得たこともしばしばです。「やはり京都はええな」と実感したものですが、若い故に、多少の気負いもあって面と向かって人に語ることはありませんでした。

そんな「眼」の記憶のカードがつもりつもって、この本を書くことになったのでしょう。木や土の壁、紙や石の意匠が建築に生かされているのが京都です。それは日本のどの都市にも優ると誇れることでしょう。さらに言えば、そこに住まう人が建物の演出家となっている生活の肌合いの感性がこしらえものでない建物の「用と美」をかもし出しているのです。

建築雑誌『コンフォルト』の編集長であった大槻武志氏にすすめられるまま、同誌に連載をはじめました。写真は新鋭の写真家・喜多章さんです。二人での京都行脚は5年間におよび、自然と共生する京の懐かしい建物を徹底的に取材しました。
この本は、私の眼に記憶されているものばかりを選びました。系統的にではなく、印象に残っている好きなところばかりです。

幸いにこの本は好評をいただいて三刷を重ねております。京に住む先人たちの美意識と暮らしの知恵を畏敬する気持ちが読者と相通じたのかと、喜んでおります。私自身も、ときどき読み返してみる京都の参考図書となっています。




■『京都町家 色と光と風のデザイン』講談社刊 本体価格=2200円(税別)

この本は1999年6月に講談社から出版していただいた。野口佐和子さんという編集者の方と長くおつきあいがあって、その方と、今は亡き講談社の船山編集長、写真部黒田一成さんとが私を導いて下さった。

私の家の染屋の話、明治大正昭和と、京都がまだ旧い町並をのこしていた時代を書きのこしておきたい。その美しい佇まいを今ものこしておられる、お家の写真を入れながら、京の町方の姿を少しでも表現できたらと考えたのである。杉本家、吉田家、野口家、巽家、富美代の撮影を黒田さんが丁寧にして下さった。

私の文章は、つたないながらも、さきの五つのお家のことや私の生家の話、梅原龍三郎さんの生家のことなどを、極自然に綴ったつもりである。

木と土と紙で造られた日本の家屋には、そこに住む人の、あるいは住んできた人の気持ちが息づいている。通り、路地、図子も人の息が感じられる。巻末には、私が子供の頃の、美しいと思いつづけてきたモノクロームの古い写真を浅野喜市先生の御遺族の御厚意で掲載させていただいた。

ここに掲載した京の町家がいつまでもこの姿を保ちつづけることを祈りながら、この本を書いたつもりである。



■『自然の色を染める─家庭でできる植物染』
 紫紅社刊 本体価格=7282円(税別)

およそ150年前にスプーン1杯の粉で染めることのできる化学染料が登場しましたが、それ以前は当然のことながら、いま私の工房でおこなっている植物染が連綿と続いていたのです。それ以前といいましたが、ほんとうに遥か昔からで、本格的に染色技術が確立した時期を飛鳥時代、7世紀とすれば、明治中頃まで、1300年余の苦心があったのです。

染屋の職人たちは自分の肉体とわずかな道具で美しい色を染め出してきました。そこには職人それぞれの、いまでいう「企業秘密」があり、隣の染屋には決しておしえない秘伝が守られていたのです。それは、染料の配分や媒染剤の使い方もありましょうが、主に仕事の手順といったことだったと思います。

「よしおか」の技術をすべて公開

私が染司よしおかを継いだとき、植物染だけでいこうと決意したのですが、1300年の歴史に立ち向かうにはあまりにも微力でした。先代のときから工房の技術的中心であった福田伝士氏と二人三脚で、なんとか日本の風土と人がつくりだしてきた伝統の色を再現しようと試みたのです。いまももちろんその試みの途中にいます。 
 この本は、私たちの試みのすえに確立した技術をすべて明らかにしたものです。私はいろいろな場でいっているように、染司よしおかには、「企業秘密」はありません。伝統の色の美しさをいまみなさんと共有したいと思っているからです。私なり福田氏なりが得心したことはいつでも公開しています。

くり返し染めのイロハを教示する

この本では、工房でおこなっている植物染をステンレスのボール1個分に置きかえて説明しています。さらに、私や福田氏がおこなうと当たり前の説明をはぶいてしまうおそれがありますので、私たちが注視するなかで、工房の若い弟子たちと、やはり若い、染色にはずぶの素人の編集嬢に染めの工程を踏ませ、かんでふくめるように詳述しろと命じました。ですから「前述したように」という言葉は使わず、各色の染めの工程ですべてイロハから解説しています。くりかえしをおそれませんでした。

ここまで技術を公開してしっまたら「よしおか」のありがたさがなくなってしまう、という人もいますが、話すと手を動かすこととは大違いで、実際に染めてみられれば、逆に「よしおか」の株はあがると、私は自負していますが……。みなさんもこの本をお手元にぜひ植物染にチャレンジしてみてください。



※紹介した書籍につきましては、紫紅社刊の書籍はメールオーダーが可能です。
 
まずは、こちらにメールでご連絡ください。

※他の出版社刊の書籍に関しては、お近くの書店もしくは、紫紅社までお問い合わせください。

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