![]() 「団栗の染め」については、 『自然の色を染める』紫紅社刊 本体価格=7,282円(税別) で詳しい技法が理解できます。 |
秋の果物として馴染み深い柿は、中国北部や朝鮮半島などでも古くから栽培されています。甘柿と渋柿に大別されますが、品種は多くて800種以上にのぼります。日本には奈良 時代に中国からもたらされたといわれています。平安時代中期の辞書『倭名類聚鈔(わみょうるいじゅうしょう)』には、「赤実菓也、音市、和名賀岐」とあります。そして室町時代の『庭訓往来(ていきんおうらい)』には、いくつかの品種名があげられ、甘柿と渋柿が区別されていたようです。柿にはタンニンが含まれており、渋みを感じるのは、果肉中のタンニン細胞が破壊されて流れ出るからです。 青い渋柿を圧搾し、流れ出た液を貯蔵した柿渋は、染料としては昔から漁網や海苔などの養殖網を染めるのに用いられたり、防水・防腐性があるところから和紙に引き染めをして古美術品を保管する箱を包んだり、揉み紙にして羽織や道中合羽にも仕立てられました。また、型染の型紙をつくるためにも欠かせないものです。薄手の美濃和紙を、漉き目の経緯が交互になるように2、3枚重ね、柿渋を刷毛で塗って張り合わせ、乾燥後に煙燻したものが渋紙で、これに文様を彫ります。このような柿渋で張り合わせた型紙は、他の塗料を使ったものに比べて水によく馴染み、伸縮に強く、水分の多い糊を使っても狂いがなく、水洗いにも強いので繰り返し使えるという利点があります。型紙を使う方法は室町時代にもさかのぼるといわれ、柿渋の利用はそれ以前から行なわれていたと思われます。 |
| ■矢車で下染めをする 【地入れ】 1.木綿布の地入れをする。 40〜50℃の、少し熱めの風呂くらいの温度の湯に布を入れる。湯がしみるように布全体を浸けて、繰る。 |
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【抽出】 2.1回目の抽出。 団栗矢車50gを2.5リットルの水または湯に入れて煮出す。沸騰するまでは強火で、沸騰後は少し火を弱めて約20分間煮沸する 3.抽出液を漉す。 煮沸した矢車をざるで漉す。2.5リットルの水は煮出して2.5リットル弱の抽出液になる。 4.2回目の抽出。 ざるに残った矢車を1回目と同様に煮沸して漉す。抽出液は2回分を合わせて、5リットル弱になる。 【染色】 5.染浴を作る。 抽出液4リットルを水嚢で漉し、5リットルの水または湯を加えて9リットルの染浴を作る。 |
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6.染浴で繰る。 急激に染液がしみ込まない方がよいので、地入れをした布は絞ったりせず、持ち上げて軽く水を切って染浴に入れ、布全体に平均的に染液が染液がなじむように約20分間繰る。木綿は70℃くらいの高めの方がよく染まるので、火にかけて徐々に温度を上げる。 繰るときには、絶えず液中で布を動かし、気泡を入れないようにすること。布は折れ目がついたり、空気が入ったままでは、その部分が染まらずムラになるので、何度もよく繰る。 7.水洗する。 布についた余分な染液をさっと流すように水洗いする。 |
| 【発色】 8. 媒染浴を作る。 明礬18gを9リットルの温湯に溶かしてよくかき混ぜる。明礬の量は、木綿の場合、水1リットルに対して2gと覚えておくとよい。また、明礬は溶けにくいので、あらかじめ別容器を使って熱い湯で溶かしておく。 9. 媒染浴で繰る。 染浴で繰ったのと同じ要領で約20分間繰る。明礬の液は、40〜50℃にする。 10.水洗する。 媒染浴から引き上げた布を7. と同じ要領で水洗いする。ただし、染色後の水洗と、媒染後の水洗は、容器を別にすること。 以上の染色・発色の工程6. 7. 9. 10. を1回行い、2回目は染色を終えたあとの水洗で作業を終える。媒染剤の明礬には液体を弾く性質があり、媒染で終えると、柿渋液が布にしみこまなくなるため。 6. 染色20分間 7. 水洗 9. 発色20分間 10. 水洗 *抽出液は翌日までもち越さない。 *もっと色を濃くしたい場合は、染色のあとの水洗で終え、中干しをして、翌日以降1、からの工程を繰り返す。 |
| 【下染めの仕上げ】 11.水洗する。 2回目の媒染を終えて水洗したあと、もう一度新しいきれいな水で布をよく水洗いする。 12.乾燥。 水洗した布は絞らないで、布端を洗濯バサミなどで挟んで陰干しにする。 ■柿渋の型染め 【下準備】 13.型紙を作る。 図案を考えて渋紙に下絵を描き、カッターナイフなどで型紙を彫る。彫った型紙は模様の補強もかねて紗張りをするか、市販の紗張りの型紙を併用するとよい(染料店で市販されている型紙には模様が彫られ、紗張りも施されているので、それを使ってもよい)。 |
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【糊を作る】 14.渋柿の糊を作る。 渋柿の原液だけでは布の上で滲んでしまうので、滲みを防ぐため、糊を作って渋柿原液と練り合わせて使う。まず、450ccの湯にアルギン酸ソーダ50gを入れ、かき混ぜながら温度を上げて溶かす。だまができるが、火からおろしてしばらく置くとすべて溶けて、半透明のゼリー状になる。そこへ渋柿原液500ccを少しずつ入れながらよくかき混ぜる、分離せずに赤茶色のゼリー状になるまで練り合わせる。 |
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【糊置き】 15.糊置きをする。 型紙は布と密着させるため、あらかじめ水に浸けて湿らせ、余分な水気をふき取る。矢車で下染めをした木綿布はアイロンをかけてしわをよく伸ばし、板などの上に置いてすれないようにセロテープなどで固定するか、地張りをして動かないようにする。布の上に型紙を置き、渋柿の糊を駒ベラで適量ずつ取って、型紙の上から一定方向に、均等に塗り込む。渋柿の糊が型紙の上にのっているのを確かめてから、型紙を引き上げる。 |
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【仕上げ】 16.水洗。 型置きをした布に天日に干し、柿渋を自然に定着させる。さらに2-3ヶ月乾燥させると、色も濃くなり柿渋もしっかり定着するが、5−6ヶ月くらいたたなければ、水洗いすると柿渋が落ちることがある。 17.仕上げ。 当て布をして、温度に注意しながらアイロンをかける。 |