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花 宴
光源氏は南殿の桜の宴のあと、酒の心地よい酔にまかせて、藤壺に会いたいと禁中をさまよううちに朧月夜と出会う。そのあとの一カ月後、右大臣邸の藤の花の宴に招かれた。
桜の花はおおかた散ったが、遅れて咲く桜が二本あると聞いた。
桜の唐(から)のおんなほし御直衣、葡萄染(えびぞめ)の下襲(したがさね)、裾(しり)いと長く引きて、皆人はうへのきぬなるに、あざれたるおほきみ姿のなまめきたるにて、いつかれ入りたまへる御さま、げにいと異(こと)なり。花のにほひもけおさひて、なかなかことざましになむ。
そこで光源氏は、思い切って桜の唐の綺(き)の御直衣といった、ややくつろいだ上着に、葡萄染(えびぞめ)の下襲(したがさね)を引くといういでたちにした。
多くの人は正式な衣裳なのに、あえてお洒落なものにしたのである。
直衣の桜色は下に濃い紅花で染めた上に、生絹の白をかさねて、透過して桜花の彩りに。
下襲は、高貴な彩である、紫草の根で染めた紫の表裏。指貫(さしぬき)は香染、すなわち丁子(ちょうじ)の蕾で染めた。
撮影/森 寛一
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